半径3cm未満に(2)

「別に歩けないこともないと思うけど…」

「それで倒れたりしたら大変でしょうが。
お姫様抱っこしましょうか?」

「ええ…じゃあおんぶで」

渋々頷いて先生の肩から頭を離す。

「はい、乗って」

先生の腕も離れて、私に背中を見せた。

そっと先生の背中に乗って肩に手を回すと、先生は来た道を戻る。

「…なんか今日色々あったなあ…。
先生ごめんなさい、沢山振り回しちゃったよね…」

「んーでも正直何か嬉しかったよ。
俺に心開いてくれたから。
教師ってそういうの弱いんだよね。」

先生はそう言って少し笑ってくれた。

「…先生が私のこと助けてくれるのは、私がまつりさんに見えるから?」

「…そうじゃないよ。
俺、恥ずかしいんだけど、まつりが亡くなるまでまつりが悩んでたこと知らなかったんだ。
だからまつりに重なるとか、そういうのはない。」