半径3cm未満に(2)

そう思うほど呼吸が早くなるのがわかった。

だめだよ、このままじゃ過呼吸になってしまう。

ゆっくり呼吸するんだ。

そう言い聞かせてもどんどん呼吸は早くなる。

そのまま前に倒れかけた時ーー。

「恋衣っ!!!」

私は魚島先生の腕の中にいた。

背中には暖かい先生の温もりがあって、視界には少し筋肉のついた腕が見える。

「はー、危なかった」

「…なん、で…」

「みつりには行くなって止められたけど、こうなってるんじゃないかと思って距離置いて付いて来た」

「…せんせ…私…」

「大丈夫。
恋衣の言いたいことくらいわかってるから。
大人しく俺に体預けて。
ゆっくり呼吸しよう。」

始めから十分体重かけてるのに。

そう思いながら先生の肩に頭を乗せる。

「…言ったでしょ。
俺は恋衣の味方だって。」

そう言って私を支えてくれる先生の腕の力が強くなった。

「…ごめ…なさ…」