半径3cm未満に(2)

「日向さーー」

「穂貴。」

みつりさんは静かに首を横に振った。

「じゃあ、今までに出た症状ってどんなのがある?」

「か…」

過呼吸、頭痛、目眩、腹痛。

言わないといけないのは分かってる。

でも。

言葉にできない。

喉の奥がツーンとして、みつりさんと目を合わせないことしか考えられなかった。

こういう時、泣くことしかできない自分に腹が立つ。

言えばいいのに。

言うだけでいいのに。

なのに…。

「恋衣ちゃん大丈夫だよ。
ちょっと一気に聞きすぎちゃったね、ごめんね」

違う。

謝ってほしいんじゃない。

私が謝らないといけないのに。

「ごめ…なさ…。
ちょっ…トイレ、行っていいですか」