半径3cm未満に(2)

お墓についてすぐ、先生が来た。

「お邪魔しまーす…」

先生の匂いがするなあ、と思いながら、後部座席に座った。

「…くしゅんっ…。」

「あーもう、あんな寒い所に1人でいるからこんなことになるんだよ?」

「しゅみましぇん…。」

私がそう言うと、先生は車を走らせた。

「家1人なの?」

「え…あ、いや、いるかも…?」

「あー、姉ちゃん兄ちゃんとか?」

「…はい。」

本当は家にいるのはお母さんなんだけどね、と思いながら頷いた。

「そっか。じゃあ俺ん家に来なくてもいいのかー」