半径3cm未満に(2)

「…ぐずっ…ごめっ…なさ…。」

先生は私の目の前でしゃがむと、あふれた涙をぬぐってくれる。

「日向の靴だけあったから、ずっと探してた」

「ごめ…ほんと…ごめ…なさ…」

「つーかお前身体冷えてんじゃん…。
 何があったの本当に…」

先生はそう言うと私に着ていた上着をかけてくれた。

「みんな…迎えが来てたから…。
 私だけ…来てなくて…。」

「もしかして共働き?
 そりゃ大変だ。
 でももうすぐ先生たちも帰るから、日向送ってくよ」

共働き…か。

いいや。この際それで通そう。