溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く

これは夢か、夢の続きなのか。


確かめるように手を伸ばしてそっと触れてみた。


柔らかい髪、頬、首筋。


その甘すぎる感触はこれが現実だと教えてくれる。


「……」


いや、一旦落ち着こう。


そのためには、このまま触れ合っていては非常に危険なので彼女から少し離れた。


俺は執事だ。こういう時こそ冷静な対処が必要なんだ。


まったく、俺のことをなんだと思っているんだろう。


天然?純真無垢?って理由だけじゃ片付けられないよな。


そもそも俺のことを男として見ていないのだろうけど。


執事として俺を信頼しきっているのか、幼なじみだから兄のように思っているのか。まだおこちゃまだからなのか。


どっちにしろ、このままだとマズイ。


きっちりと釘を刺しておかないといけない。


お嬢様自身のためにも心を鬼にして進言しなくてはいけないんだ。


「お嬢様、朝です。起きてください」