「貧乏でブスなんて、取り柄無しだっつーの」


ギャハハって品の無い笑い声がして、思わず耳を塞ぎたくなる。


話してる内容も内容だし、なんだか嫌な気分。


ネクタイの色が緑だから2年生のようだ。


「おい、あの子ってさ……」


「有名な子だよな?」


彼らからの視線を感じて慌てて俯いた。


こちらに近づいてくる気配を感じて、背中がヒヤリ。
 

「ねえ、君ってあの……」


「元ホテル王の家のお嬢様だよね?」


「確か、キサラギさんじゃなかった?一年生か、かっわいー」


「噂には聞いてたけど、めちゃくちゃ美少女じゃん。
ねえ、使用人がみんな辞めちゃって困ってるんだよね?」


「執事も辞めたらしいじゃん、かわいそー」


「……ッ」


3人から取り囲まれて、侮蔑とも嘲笑ともとれる言葉を浴びせられ、悔しかったけど怖くて後退りした。


でも、一つだけ彼らの間違った認識に反論したかった。