[お嬢様の決心]


私はもうクヨクヨして泣かないって決めた。


彼が近くで見守ってくれてるかもしれないって認識したその日から。


瀕死に近かった心が生き返っていくみたいだって思った。


だって、五感を研ぎ澄ませれば確かに感じるんだ。


その優しい眼差しを……。


キミがそこにいてくれるなら、私はまだ頑張れるよ。


紫音、私のことを見ていて……。




(若葉、ほんとに大丈夫?
1人で寂しくない?
連絡くれたら夜中だってすぐに迎えに行くからね)


(晶ちゃん、ありがとうー。
心配しないで大丈夫だよ。どうにか1人でやってみる。
朝起きたらまた、メッセージを送るね)


晶ちゃんとこんなやりとりをして、スマホを自分の机に置いた。


久しぶりに戻ってきた我が家。


自分の部屋に足を踏み入れた途端、懐かしさにホッとして胸が暖かくなる。