溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く

ああ、なんて優しい味なんだろう。


ほわんと幸せに包まれるような心持ちがして、ハタと我に帰る。


あれ、これって……この味はもしかして。


これは本当に薫さんがいれた紅茶なの?


「ええっ、若葉?どうしちゃったの?」


晶ちゃんが私を見てびっくりしたように素っ頓狂な声を上げる。


「エヘヘ」


「ちょっと若葉っ、しっかりして」


「ふふっ」


「えー?」


晶ちゃんは怖いものでも見るように私を見て固まっている。


「大丈夫だよ、晶ちゃん」


「ほんとに?だって若葉泣きながら笑ってるよ」


「大丈夫なの、晶ちゃん、私、もう大丈夫だからっ」


悲しくて泣いているわけじゃない。


バカだよね、私。


どうして気がつかないでいられたんだろう。


それは、ほんの少しの違和感。