溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く

しぶしぶ、返事をすると彼は嬉しそうにスマホを私の口元に持ってくる。


録音でもする気なのかもしれない。


「如月さんは専属執事と交際のうわさがあったけど、二股だったんですかー?」


「……ッ」


「それで、執事のほうを切り捨てたってもっぱらの……」


気が付けば彼のスマホをパシッとはねのけていた。


スマホは落ちはしなかったけど、彼は軽く舌打ちする。


「おっと、見た目によらず気が強いな。怒るってことは本当のことなんだね」
 

「……」


醜くゆがむ彼の顔をまっすぐに見上げてすうっと息を吸った。


「黙ってください。あなたなんかに何がわかるんですか?」


この人は知りもしないくせに、私と彼のことをただ面白おかしく書きたいだけ。


もうこの場所から一瞬でも早く立ち去りたかった。


「どいてください」
「待ってよ」
「天堂さんの婚約者だからってすかしてんじゃねーよ」


そんな嫌味まで投げかけられ、怒るよりも呆れてしまう。