溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く

その名前にすぐに反応して顔を上げた。


「え、紫音がなんて?」


「いや、だから、若葉お嬢様は繊細だから真綿でくるむように優しくしてあげて泣いてたら寄り添ってあげてとか、あー絶対無理、私には」


「えっと、もしかしたら紫音に頼まれたの?」


そっか、紫音たらそんなふうに思ってくれていたのか。


「あ、はあ、まあ、そうですけど。
ごめんなさい、私にそこまでできる自信ありません」


困り果ててため息を吐く薫さんを見ていたら、少し落ちついてきた。


「いや、私以外でも無理ですよ、
今の若葉お嬢様を笑顔にできるのは紫音だけです」


「……そ、そうだよね」


「ええ、そうですよ。
若葉お嬢様の執事は紫音にしかつとまりません」


彼女はなぜか階段下のドアのほうを向いて大きな声をあげた。


「うん、うん、だねっ」