[キミだけがいない]


「ごちそうさまでした」


昼休みのカフェテリア、私はVIPルームで食事を終えた。


「もういいの?あまり口に合わなかったかな?」


天堂さんに心配そうに覗きこまれ、おでこにそっと触れられる。


「いいえ、そんなことありません」


「体調はもういいの?」


「はい、すっかり」


微かにうなずいて彼の手から離れた。


「まだ元気がないようで心配だよ。やっぱり、僕の家に来てくれないか?
どうせもうすぐ正式に婚約するんだし一緒に暮らそう」


「い、いえ。大丈夫です。友達の家に居候していますから」


「そうか」


彼は肩を落として小さく息を吐く。


「ご、ごめんなさい。いろいろお気遣いいただいているのに」


「謝ることはないよ」


優しく微笑する彼から、目線をはずす。


いつもあんまりまっすぐに見つめられるから、恥ずかしくてどんな顔をしたらいいのかわからない。