溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く

「帰ってきて落ち込んでるって?もしかして振られたのか?」


言いながら思わず、クッと意地悪な笑みがこぼれていた。


もしそうだったら、どんなにいいだろう。


「なに、笑ってんだよ。違うよ、若葉お嬢様は結婚のことは断らなかったよ。花束だって受け取ってもらえたんだから」


すぐさま反論してきたので、フンッと鼻を鳴らす。


「知ってるよ、そんなの」


お嬢様は花束を確かに受け取っていた。


結婚は承諾したということだろう。


少なくともその場で断ってはいないはず。


そう思えば、胸の奥にちりちりと焼けるような痛みが走る。


親思いの優しいお嬢様が出す結論を俺が分からないわけはない。


「坊ちゃんは、おそらく恋をしておられるんだよ。でも初めてだから自分でも気持ちが思い通りにいかなくて苛立っているみたいで」


「はあ、初めてね」


物は言いようかよ。