穴があったら入りたい、今すぐ隠れたい。


すると、花瓶を教室の後ろの台に置いた紫音がこっちに歩いてくるのがわかった。


「あ、晶ちゃーん」


どうしていいかわからなくなって晶ちゃんに助けを求めて抱きついたら、ヨシヨシと頭を撫でてくれた。


「若葉、可愛いー」


晶ちゃんに茶化されて恥ずかしさMAXだったけど、紫音からはただじゃれあって遊んでるように見られたみたい。


「若葉お嬢様?なにやってるんですか?」


「な、なんでもないよっ。お花を生けてきてくれてありがとう。もう紫音は自分のクラスに戻っていいよ」


彼のほうを見ないで、早口で返事をした。


「はあ」


彼が一刻も早く、立ち去ってくれますようにと願いながら晶ちゃんに抱きついたまま顔を隠していた。


ほんとに、私どうしちゃったんだろ。


どうして私、紫音のことになると自分が自分でなくなっちゃうのかな。