筋肉質な体に触れてドキドキしたけど、バイクの乗り心地が怖すぎてそれどころじゃない。


景色があっというまに後ろに流れていく。


「遅刻しそうだからスピードをあげますよ」


ブォンッ……。


バイクの重低音がお腹に響く。


「えっ、ちょっ、ひーっ」


高校へ登校する時はいつも専属の運転手さんに車で送り迎えしてもらっていたけど、その運転手さんも昨日他の使用人さん達と一緒に辞めてしまったんだ。


なので今朝初めて紫音のバイクの後ろに乗せてもらって登校することに。


電車で学校までいくのはかなり時間がかかるらしいから仕方がないんだよね。


はあっ、朝からスリル満点。


送迎の高級車がズラリと並ぶ先に私の通う桜桃学園高等部が見えてきた。


薄茶色の煉瓦造りで中世のお城みたいな趣きのある校舎。


「お嬢様、着きました。
もう手を離していいですよ」


「……」