溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く

「大切なお嬢様にもしものことがあれば、旦那様や奥様に申し訳がたちませんから」


「あ、うん。そっか、だよね。ごめん」


あまりに強い眼差しだったから、胸がドキッとして視線をそらした。


その上、こんな時に昨夜のやりとりが浮かんできて顔を上げられない。


無知で無防備、その上世間知らずな自分が心底恥ずかしかしい。


どうしょうこんなんじゃ、彼に嫌われちゃうかも。


不安になりかけたその時、紫音が切ない顔をして口を開いた。


「俺も同じです」


「へ?」


「お嬢様に何かあれば、きっと立ち直れない」


「……ッ」


誘拐、はいくらなんでも大袈裟だけど彼はそう信じて必死で駆けつけてきてくれたんだ。


その気持ちが伝わってきて、カアッと身体が熱くなる。


「あ、紫音、あの私」


今言わなきゃって思って、身体の奥から精一杯、勇気を振り絞る。


「走って来てくれてありがとう」


「いえ、結局俺はなにも……」