今日は碧とデートの日。
 私たちはランチに行って、そのあと映画を鑑賞した。
 アクションかホラーが見たい碧と、ロマンスかファンタジーが見たい私はしばらく攻防戦が続き、碧が折れる形になった。

「意外と面白かったな」
「でしょ? これ人気作の映画化なの。ずっと楽しみにしてたんだ」
「こーゆーの、俺ひとりじゃぜったい見ないから、柚葉がいてよかったな」

 彼はさらりとそんなことを言う。
 私は「でしょー」と軽い口調で返した。
 そうしたら碧は私の肩を抱いて、耳もとでぼそりと言った。

「ああ、本当に柚葉がいてよかったと思う」

 どきりとして顔が熱くなった。
 同時に恥ずかしくなり、慌てて碧から離れた。

「ちょっと、みんなが見てる前で」
「誰も見ていないとこならいいのか?」
「それ、は……」

 どう答えたらいいかわからなかった。
 だって、正直、誰もいないなら、碧といちゃいちゃしてもいいって思ったから。
 そんなの恥ずかしすぎて言えないけど。

 碧はにんまり笑った。

「俺の家、来る?」

 どきりとした。
 私はしばらく考えて、黙ってうなずいた。