「とにかく今は休んだ方がいい。母様はしばらく帰って来ないだろうし……帰って来てからは、きっと忙しくなる」
「……それは、そうでしょうね。家族会議ということになるのかしら?」
「その可能性は高いと思うよ。だから今は休むんだ。僕も自室で備えておくからさ」

 イルルドが言っていることは、よくわかる。これからのことを考えたら、休息を取った方がいいだろう。
 しかし私の心情は、休める程落ち着けていなかった。故に私は、安らぎを求めてイルルドの手を握る。

「……姉さん?」
「ごめんなさい、イルルド。もう少しだけ傍にいてくれないかしら? どうにも一人だと、休める気がしなくて……」
「そうか……わかった。僕で良ければ、傍にいるよ」

 イルルドは、私の言葉にゆっくりと頷いてくれた。
 こうして私は、しばらく弟と一緒に休むのだった。