婚約者の浮気相手は母でした。

 それ程親しい人が多い訳でもない私は、手紙が一気に二通も届いてきたという事実には少し驚いた。
 しかしながら、その手紙はこのタイミングで届きそうな二人からの手紙だった。それに納得して、私はその二つの手紙をよく読み込んだ。

「エルヴィー侯爵家は、色々と大変なことになっているみたいね」
「そうなのかい?」
「ええ、この手紙に関してはあなた宛てでもあるから読んでみて」
「……侯爵も律儀だね。父様にもこういった手紙は送っているだろうに……」
「まあ、そうね。侯爵自身は、尊敬できる方だと思うわ」

 一通は、エルヴィー侯爵からの手紙だった。
 彼は、ことの顛末を私とイルルドに伝えるためにわざわざ手紙を出してくれたのである。
 それは、ありがたいことだ。お父様の手を煩わせないで済むし、情報も早く手に入る。

「なるほど、結局エルヴィー侯爵家は甥が継ぐんだね……」
「ええ、本当にリビルト様は追放されるみたい。まあ、今は入院しているからその面倒だけは見てあげるみたいだけれど……」