婚約者の浮気相手は母でした。

「これで、全部終わりってことか……」
「ええ、そういうことになるのかしらね……」

 私は、イルルドとともに隠れ家の外に出てきていた。
 お母様とリビルト様は、身支度を整えている。当然のことながら、裸のまま動くことはできないからだ。
 それに、心を落ち着ける時間が必要だった。私達にとっても、お母様達にとっても。

「イルルド、あなたは大丈夫かしら?」
「えっと、それはどういう意味かな?」
「その……ほら、あなたはお母様から直接的な被害を受けた訳ではないでしょう? だから、この結果にもすっきりしていないんじゃないかって……」

 私は、少しイルルドのことが心配だった。
 婚約者を取られるというひどい扱いを受けた私や、夫であるお父様と違って、イルルドはお母様に何かをされたという訳ではない。
 そんな彼は、今回のことで心を痛めているのではないか。そんな考えが、頭を過ったのだ。