婚約者の浮気相手は母でした。

「……それは違うわね」

 私の言葉に、お母様は鼻を鳴らした。
 それはまるで、エルシーのことを嘲笑っているかのようだ。いや、実際にそうなのだろう。

「あの子娘は、利用されているだけだということに気付いていない哀れな娘よ。リビルトが本当に愛しているのは、この私なのだから」
「なるほど、本当にどうしようもない程に愚かですね、お母様は……」

 お母様もエルシーも、リビルト様の本命が自分だと信じ込んでいる。それが私は、とても滑稽に思ってしまった。どうして二人とも、自分が利用されているだけだとわからないのだろうか。
 恋は盲目、二人の様子に私はそんな言葉を思い出した。二人がそんな風になる程に、このリビルト様は口が上手いとでもいうのだろうか。

「リビルト様、あなたの本命は一体誰なのでしょうね?」
「本命って、何を言ってるんだ、アルメア。これは、誤解だと言っているじゃないか」