婚約者の浮気相手は母でした。

 私とイルルドは、連れて来ていた使用人達に合図を出してから素早く家へと近づいた。
 家の中にいる二人は、まだ私達のことを把握していないだろう。そう予測して、私は慎重に扉に手をかける。念のため鍵はもらっていたが、扉は特に抵抗なく開いていく。

「イルルド、二階に行くわよ。できるだけ、慎重に……」
「人影があったのは、右奥の部屋だったね?」
「ええ……」

 私達は、使用人を連れてゆっくりと階段を上った。
 それなりに古そうな家だったが、幸いにもそれ程音は立っていない。これなら、二人に気付かれずに済みそうだ。
 そんなことを考えている内に、私達は例の部屋まで辿り着いていた。そこで私は、ゆっくりと息を呑む。いよいよ、あの二人と対面することになるのだ。

「……失礼します!」
「え?」
「なっ……」

 意を決した私は、勢いよく扉を開け放った。