婚約者の浮気相手は母でした。

「そ、そんなことは……」
「……申し訳ありません。あなた方に言うべきことではありませんね」

 エルヴィー侯爵は、そこでゆっくりと首を振った。
 自分でも言っている通り、育て方の後悔をここで述べても仕方ないと思ったのだろう。
 そんな侯爵に、どんな言葉をかけていいのかがわからない。それはイルルドも同じであるようだ。

「お二人は、リビルトと夫人の元に直接向かわれますか?」
「ええ、お父様に一報を入れてから向かおうと思っています。侯爵は、どうされますか?」
「私も行くつもりです。ただ、お二人は先にお行きください。実の所、最近足の調子が悪いのです。文字通り、お二人の足手纏いになりかねない。程なくして合流しますから、どうか私のことはお気になさらず」
「わかりました。それでは、私達は行きます」

 私はエルヴィー侯爵の言葉に、ゆっくりと頷いた。
 こうして私達は、お母様とリビルトが隠れている場所へ向かうことにするのだった。