婚約者の浮気相手は母でした。

「イルルド、ここにいたのね……」
「ああ、姉さん……」

 私は、中庭にいたイルルドにゆっくりと近づいていく。
 彼は、先程から私の目を見てくれない。それは当然のことだ。私が彼を探していたということは、告白に対する返答が決まったことを表しているのだから。

「……答えは出たのかな?」
「ええ、出たわ。あなたに対する私の気持ちを改めて考えてわかったの。私にとって、あなたは弟なんだって」
「弟……」

 私は、自分が思ったことを素直に口にした。
 私にとって、イルルドは弟である。その認識はきっと変わらない。私自身が、変えたくないのだ。
 私達は、姉弟である。それが二人の始まりだった。だからその関係は、私達にとってとても重要なものであると思うのだ。

「それはつまり、僕とは婚約できないということかな?」