婚約者の浮気相手は母でした。

 お父様は、ゆっくりとそう切り出してきた。
 その顔は、真剣そのものだ。先程までの会話とは雰囲気が違う。

 同時に私は、只ならぬ気配を感じていた。それは恐らく、イルルドから感じているのだと思う。
 故に私は、イルルドの方を向いた。
 彼の額からは、一筋の汗が流れている。それだけこれからお父様が言おうとしていることは、イルルドにとって重要なことなのだろうか。

「アルメア、イルルド、お前達二人で婚約を結ぶというのはどうだろうか?」
「……え?」

 お父様の言葉に、私は思わず変な声をあげてしまった。
 それがまったく予想していなかったことだからだ。

「私とイルルドが婚約を? それは一体どういうことですか?」
「そのままの意味だ。お前達二人が結婚するのはどうかということだ」
「結婚……」