恋愛偏差値が低すぎる!!

脳天がかち割れたんだと思ったぐらい、強い衝撃だった。自分の居る場所はそこそこ高い位置で、自分は恵まれた人間だと認識していた。こんなに長時間勉強できて、ちゃんと身になっていく自分の脳は誰よりも出来が良く作られているんだと思っていたのに。
上には上がいるんだと、思い知らされたあの日。自分は凡人だと、顔も知らない奴に焼印を押され、酷く落胆した。

ただ今日の中間テストの結果を見て、この焼印は本当に適切だったのか疑わしくなってきた。

「本当に立川葵って存在するんですか?この学校が作ったシステムとかじゃなくて?」

「うーん?加藤さんは何を言っているのかしら」

「ここまで差をつけられると、さすがに納得がいきません。私はこの目で見るまで絶対に認めませんよ、立川葵の存在を。絶対AIか人工知能がロボットです!」

そうだ、こんなのおかしい。11歳の時から約4年間。毎日6時間勉強しても超えらない壁があるなんて、どう考えてもおかしいでしょう。人間の能力には必ず下限も上限も、神は作っているはずだ。

得体の知れない立川葵のことを考えていると、段々腹が立ってきた私は、芦田先生に軽く会釈をし、頭を冷やすために職員室を後にしようとした。

「うーん、そうねぇ。あ!いいこと考えた」

芦田先生の急に大きな声に驚き立ち止まる。


「どうしたんですか先生」

「いや、行けるな。今から裏門前にタクシー呼ぶから、立川くんの家にこれ届けてくれないかな」

実は職員室にきてからずっと気になっていた、机のど真ん中を陣取っていた大きめの茶封筒を、私の胸元目掛けてぐいっと押し付けてきた。