恋愛偏差値が低すぎる!!

「まあとにかく、苦手な現代文でここまで点数を取れたことを加藤さんは誇るべきよ。95点凄く高い点数じゃない、貴方のクラス平均は60点よ?何をそんなにピリピリしてるの」

そう言い終わると、少しだけ黄ばんだマグカップを口につけ呑む素振りを見せた。だが気づいている。中に入ったコーヒーらしきものは、少しも暈が減っていないことに。

「じゃあ、立川葵の点数は何点ですか」

総括した気分になっている先生に、本題を切り込む。どうやら言われたくなかった事らしく、電池が切れたかロボットのように、急にピタリと動きを止めて

「えっと…ひゃく、てんです…」

と消え入りそうな声でそう言った。

「はぁ。本当に何者なんですかその人は」

「立川くんは例外っていうか、中等部の時から凄かったからねぇ。今はもうリモート授業で来なくなっちゃったけど、多分あの子は世にいう天才なんだと思う」

"天才"立川葵。
この白百合学園高等学校では、進学に特化しており、ほとんどの学生が指定校推薦を狙っている。だから定期テストは大きく差を出す為に、高難易度に設定されており、満点は絶対に取らせないというルールがある。入学式のパンフレットの定期テストの欄に、回りくどくそう書いてあった。