恋愛偏差値が低すぎる!!

制服をハンガーにかけ、机に置かれていたTシャツと短パンに着替えた。床に置かれた鞄からあのファイルを取りだし、机の横のフック掛けた。
重い足取りで、1階に降りると、夕飯の準備は終わってるらしく、母はエプロンを脱いで、キッチンではなく、リビングのソファーに座っているのが見えた。

「お母さん」

リビングの入り口のすぐ近くで声をかけるが、及び腰なせいで、思ったより声が出ていない。

「どうしたの?紬」

しかし母はすぐに私の存在に気づくと、手にしたファイルに目を落とした。そして急いで準備テレビを消して、ダイニングの大きなテーブルを囲う椅子に座った。

「中間テストの結果でしょ」

「うん、見る?」

「そりゃ、紬ちゃんが頑張った証だもん。ちゃんとこの目で焼き付けたい」

母の暖かい笑顔が身に染みる。
私は今からこんな母に気を使われる。これは確定事項だ。
中学時代、1位じゃないと意味が無いと調子づいたことばかり言っていたから、この成績で満足する子じゃないと母は知っている。因果応報。しょうがない。