「じゃあ、それ返してください」
立川が持っている2枚の成績表。片方だけ異様に力強く握られていたから、もう片方のシワが寄ってない方を裏から抜き取った。すぐにファイルに挟んでカバンに入れる。
「もうここには来ることは無いですけど…」
ジャージ姿の立川の目の前で腕を組み、仁王立ちする。顔を上げ、まっすぐ目を見つめると立川の顔の中心に、ガラスの壁があることに気がつきハッとした。
眼光が鋭かったから気づかなかったが、この人フチなし眼鏡をしていたのか。
「おい、なんだよ」
眉をひそめ、喉仏を上下に動かしながら生唾を飲み込む。私と距離をとるために後ろに下がった時、後ろに結った髪が緩んで、色素の薄い髪の毛が逃げ出し、肩より前に垂れ下がった。明るい髪色。耳には複数のピアスをつけているし、見ているだけで痛々しいほどに派手だ。
私はこの人に負けているのだと、しっかり目に焼きつけた。こんな見た目の人に、完敗したのだと、忘れないように。
「立川さん、次は負けません」
「はぁ?なんだお前」
「もう会うことは無いですけど、もし貴方の成績が下がった時、決して自分の実力を疑わないでくださいね」
「な、なんでだよ」
「私が凄かっただけの話ですから。貴方はそのまま天才のままでいてください」
「お前まじでなんなんだ」
立川が持っている2枚の成績表。片方だけ異様に力強く握られていたから、もう片方のシワが寄ってない方を裏から抜き取った。すぐにファイルに挟んでカバンに入れる。
「もうここには来ることは無いですけど…」
ジャージ姿の立川の目の前で腕を組み、仁王立ちする。顔を上げ、まっすぐ目を見つめると立川の顔の中心に、ガラスの壁があることに気がつきハッとした。
眼光が鋭かったから気づかなかったが、この人フチなし眼鏡をしていたのか。
「おい、なんだよ」
眉をひそめ、喉仏を上下に動かしながら生唾を飲み込む。私と距離をとるために後ろに下がった時、後ろに結った髪が緩んで、色素の薄い髪の毛が逃げ出し、肩より前に垂れ下がった。明るい髪色。耳には複数のピアスをつけているし、見ているだけで痛々しいほどに派手だ。
私はこの人に負けているのだと、しっかり目に焼きつけた。こんな見た目の人に、完敗したのだと、忘れないように。
「立川さん、次は負けません」
「はぁ?なんだお前」
「もう会うことは無いですけど、もし貴方の成績が下がった時、決して自分の実力を疑わないでくださいね」
「な、なんでだよ」
「私が凄かっただけの話ですから。貴方はそのまま天才のままでいてください」
「お前まじでなんなんだ」
