事の始まりは、私の強欲な性格が原因で起きた。

「加藤さん、2位でも誇るべきよ?そもそも満点が取れないようにテストを作っているのに、3教科も満点出してるあの子が異常なだけで」

「やめてください、先生。私は同い年の人間に、負けても仕方ないとは思いたくないんです」

高校一年、第1期中間テストが終わり、今日成績表が返ってきた。私の五教科の合計点数は492点。現代文と英語は、全て論述問題で、減点される前提で作られていると言っていたから、これぐらいは許容範囲だと思っていた。それなのに。
成績表に書かれた順位は 全て 2位。学年順位クラス順位だけじゃない。各教科の順位も全てだ。
地元の中学では、全学期通して学年トップを走ってきた私にとって、これは恥ずべき事態である。

「でもねぇ…」

「だからここ、なんでこの答えが間違ってるのか教えてください。この登場人物の気持ちを答えよで、どうして私の理解が出来ずに困惑したがバツなんですか」

「うーーん、そうねぇ」

職員室の右端。高等部一年を担当する先生たちが区画で、現代文担当の芦田先生は椅子を浅く座り、私が持ってきた解答用紙を睨みつける。