恋愛偏差値が低すぎる!!

「何が入ってたの?」

「えーと、まあ」

私の煮え切らない返事に、立川葵は怪訝そうな顔をした。

「え、 何怖いんだけど」

「いや、まあまあ」

「マジで怖いんだけど、何が入ってんの」

「まあまあね、ほら」

「おいそれ、中身までちゃんと確認しろよ絶対」

はい、待ってました。その頼み。
ふざけた煽り方だと思っていたが、立川葵は少し怯えた様子だった。
これは願ってもいないチャンスだ。自分が勝てない人間の実力をハッキリとこの目で見ることが出来る。


「もちろんです」

心が浮き足立ちながら、二つ返事で了承する。すぐに中の紙を取りだし、空になった封筒を脇に抱えた。

成績表の右上には、立川葵と濃く印字されている。

やはり全教科この人が全部一位を根こそぎ取っているのか。
数学100点、国語100点、英語100点 、歴史100点…

え?

もう一度最初から、各教科の点数を確認する。

数学100点国語100点英語100点歴史100点、何度数えても四教科だ。

立川葵の五教科の合計点数は498点だ。


ーー494点を取っても、全て2位ということは、1位の人は満点を出したということですか

職員室に殴り込みに行った今日。世間話のように持ちかけた順位の話に、芦田先生の青ざめた顔を思い出す。

ーーはい、確かあの、複数の教科で満点を出したと聞いてます。

ーー複数教科!?え、一体何教科で満点取ってるんですか

ーーたしか3教科ぐらいだったかな?…

目を逸らし、遠くを見つめながらそう呟いた。