恋愛偏差値が低すぎる!!

「え、誰?」

誰だこの人。いま、私の名前を呼んだか?この人。

「酷いなー。同じクラスの白星だよ。白星咲夜(しらほしさくや)

「んーー?」

私の困惑した表情に、白星と名乗る男は首をかしげる。

「あれれ?わかんない感じか」

こんな人、同じクラスにいるのか。白星と名乗る長身の男は、サイドの髪を耳にかけ、無駄のない顔をしている。一度見れば忘れそうにないが、覚えてないから一度も見たことがないのだろう。

「こんにちは」

「あはっ、すっごい他人行儀だ」

突然幼い子供のようにケタケタと笑う白星と名乗る男。

「加藤紬です、よろしくお願いいたします」

「知ってるって、加藤さんのこと」

どうやらこの人は笑いのツボが浅いらしい。人を置いてけぼりするほど、私の一言一言に過剰に笑ってくる。ある意味、話しづらい人だ。

得体の知れない笑いに困惑しながも、会話が続く。

「加藤さんこんな所で何してるの?」

「まあ、単刀直入に言えば、立川葵さんに会いに来ました」

「え?本気で言ってる?それ」

立川葵という名前を聞いて、あからさまに驚いた顔を見せる。

「はい、まあでも過去形です。この目で見てみたかったんですけど、家が大きすぎてビビりました」

「びびりました?…あははは」

また笑い出す白星。今度は腹を抱えて笑っている。はぁ、なんだか凄くやりづらい。

「だから芦田先生からの預かった立川葵さん宛の荷物をポストに入れようと思って探してる最中ですなんですけど見つかりません」

「あぁ。まあ、しょうがないよ。この家に物を送りたいなら別宅を経由しないといけないから。そういう類の物は本人に直接渡すか、別宅の住所に送らないといけないんだ」