自分には才能がないと悟ってしまったのは、いつですか?

「紬ちゃんは、お姫様じゃなくて、馬車のお馬さん役、やろうね!」

私は歌が下手なんだと自覚したのは、5歳のとき。主人公を唯一希望した私は、実力不足と判断され、降ろされた。

「紬ちゃんも、頑張って書いたんだよね?」

次に絵が下手なんだと自覚したのは、8歳の時。図工の時間に描いた友達の顔のデッサン。描かれた彼女は、私の絵を見て泣き喚いた。

「紬はさ、私の恋応援してくれるよね?」

同級生と良好な関係を築くことすら出来ないと自覚したのは12歳の時。気づけばひとりぼっちになり、周りからは白い目で見られるようになっていた。

だが、別にいいのだ。私、加藤紬《かとうつむぎ》には、指定校推薦で有名私立大学に入り、在学中に司法試験を受けて合格するとい明確な目標が出来たから。その目標達成まであともう少し。約4年間の貴重な時間を全て、高校受験勉強に費やし、日本有数の名門校白百合学園高等学校に次席合格した。もうゴールは目前だ。

私の唯一の才能はこの頭の良さと、勤勉さである。



「「加藤さん、僕と友達にならない?」」

「「なんで私なんですか!」」

だから経験値が少ない私は、人間関係において不正解を出し続け、結果こうなった。