「寒いよなぁ、失敗だったかな」
「でもおいしかったよ」
「よかった。でも、手真っ赤だよ」
「外に出してたら冷えっちゃったねぇ」
暖めようとポケットに手を向かわせれば、それをふせいだのはサトルの手。
「今日おかしいよ、どしたサトル」
同じく寒空にさらされていたはずのサトルの手は、汗をかいていて暖かい。暖を取るようににぎり返せば、ぎゅっと強くなる。
「よしちゃんは、俺のこと好きなんだと思ってた。俺の思い上がり?」
私の方は見ず、ただ歩くスピードは私に合わせて緩めたまま。
「なんで」
「俺はさっきも言った通りよしちゃんが好きだし、恋人になれたらいいなって望んでるよ」
――チョコレート一粒で伝えられると思えないくらいには好きだよ。
素直じゃない口は、チョコレートのように甘い。ぺろりっと口のチョコレートを舐めとって、ゆっくり歩いていたサトルの腕を引っ張る。
「どうした?」
「マスク下げて」
「いいけど」
サトルの口にアイスがほんの少し固まってる。ちょっぴり背伸びをしてアイスにキスをする。
「チョコレートの一粒で伝わる程度の恋心じゃ、ないんですけど」
カァアッと赤くなっていくサトルの顔が、あまりにも可愛くて愛しい。
「でも、ハート型のアイスはありがと。私も用意すればよかったかなぁサトルが喜ぶなら」
甘すぎる空気に、酔ってしまったようで素直じゃなかったはずの口がやけに動いてしまう。
「私もずっと好きだよ、サトルも一緒かなと思いつつ不安だから言えなかった。でも、ありがとう。大好きだよ」
答えはしばらく返ってこない。でも、つないだ手の力がどんどん強くなっていく。返ってきた言葉は、全然関係ない話。なのにサトルがあまりにも愛おしそうな目で私を見てるから、熱が全身を回る。



