「これからは俺も一緒に背負いますから。無理はしないで今日はしっかり寝てくださいね。……あ、あと体裁もこの部屋では気にしなくていいんですよ。」
ーー驚いた。
取り繕っていたはずなのにすべて見抜かれてる。
その、観察眼に驚いた。
それと同時に涙が出そうになった。
鼻の奥がツーンとして目が潤む。
……誰も私の努力に気づいてくれないし褒めてくれない。一人で頑張り続けるしかないって……そう、どこかで思ってた。
ーーでも、槙野くんは違った。私の努力としんどさに……気づいてくれた。分かってくれた。
そして、私に寄り添い、支えると言ってくれている。
もうそれだけですべてが救われたような気がしたのだ。
私がずっと欲しかった言葉を、今日初めて会った人がくれた。
この出来事は、ずっと心の奥にあったモヤモヤを晴らしてくれた。
泣きそうになっている事に気づいたのだろう。槙野くんは私の頭をそっと撫でてくれた。
「今日までよく頑張りましたね。……その努力を認めてあげてください。」
「…っ。ぁ……。」
その言葉でもう涙腺は崩壊してしまった。私の瞳からとめどなく涙が流れる。
私は涙を止めようと何度も何度も拭うが、一向に止まる気配がない。
体も脱力してしまい、椅子の背もたれにもたれかかった。
西園寺グループの跡取りとして、あるまじき事だが、今は取り繕うことが出来ず、心ではダメだと思っていても抗えなかった。

