「……お前は…。璃子さんの補佐か。」
渚斗さんは足を止めて私の肩をだき、颯斗くんと対峙する。
私の肩を抱くその手が怖くて、目をつぶって顔を背ける。これが私にできる一番の抵抗。
「聞こえないのか?その手を離せといっているだろ。」
私のその姿を見て眉を寄せた颯斗くんは声を荒らげる。が、渚斗さんは聞く耳も持たない。
「お前には関係ない。ただの庶民の補佐のくせして、随分と生意気な口を聞くじゃないか。」
その言葉はさすがに聞き捨てならない。
「っ!ちょっと……!」
庶民だからなんだと私は抗議しようとするが、
「……璃子。好きだ。」
私の言葉の前に颯斗くんから放たれた告白にすぐ理解することができず、ポカーンと呆ける私。
「はっ!?お前、何言って…」
渚斗さんが何か言っているが私はそれどころじゃない。
「璃子、今まで待たせてごめん。本当はずっと好きだった。告白されたその前から。」
颯斗くんの真剣な眼差しを受けて、やっと実感が湧いてきた。
待ち望んでいた告白を聞いた私は感極まってボロボロと涙を流す。
こんなに誰かの為に涙を流せるのは後にも先にもきっと、颯斗くんだけだ。
「っ……っう…。」
颯斗くんは嗚咽をこぼして泣く私の腕を優しく、でもしっかりと掴んで走り出した。
「ああっ!どこに………」
颯斗くんについていきながらも涙が止まらない。視界が定まらず、ついには転びそうになる。
地面に倒れ込む事を覚悟した瞬間、今度は浮遊感が体を包む。
「っ!?は……はやとく……」
咄嗟のことにギュッと閉じた目を開けると颯斗くんに抱き上げられていた。俗に言う、お姫様抱っこだ。
必然的に顔が近づき、あまりの美形に顔を紅潮させる。
「走りますから、噛まないように口を閉じていてください。」

