【短編】天然お嬢様は焦らされてる事に気づかない。


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お見合い当日。

私はだるい体を動かして今日のために仕立てたワンピースに着替える。
白をベースとした品のあるデザインでありながらもさりげなく腰にリボンがついていてとても可愛い。

いつもなら可愛い服が着れてラッキーとテンションが上がるところなのに、今日は憂鬱だ。


あの日から今日までも学校ではいつも通りを装ってきた。
颯斗くんにはもしかしたら違和感程度に気がついていた気がする。

颯斗くんには今日の事を言わなかった。唯一学校で知っているのは親友の夏帆だけ。

夏帆には「槙野くんが好きなんじゃないの?」って心配された。やっぱり優しいんだよね、ちょっとツンデレなだけで。


………もう決めた。私は悲劇のヒロインのように悲しまない。どんな結末が待っていようとも西園寺の娘として堂々としないと。

だからもう、颯斗くんへの想いには蓋をしよう。

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西園寺の車はお見合い会場に向かっていた。もちろん車は超・超高級車だ。

「それにしても……璃子がもうお嫁にいく年とはなー………。あんなに小さかったのに…。」

私の隣に座るお父様は感慨深いものだと呟く。

「寂しくなるな。」

「嫁に行くのではなく、婿をもらうのですから、ずっと西園寺にいますよ。ですから寂しくなんてないでしょう。」

「いーや。これは気持ち的なものなんだ。お前が他の男のものになるなど……寂しいじゃないか。」

お父様はそう拗ねたように言った。