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その夜、私はベットの中で考えた。
……これでいい。これで、いいんだ。
分かっていたはずだろう。私は自由に恋愛できないことなんて。裕福な家に生まれたからには自由なんてないんだって。
なのになんでこんなに落ち込んでるの?
仕方のないことだと、割り切らなくっちゃ。
「………はぁ」
ああ、颯斗くんを落とせなくてよかったな。もし、好きにさせていたら傷つけてた。まあ、恋愛初心者の私に落とせたかはわかんないけど。
ははっ、良かった良かった。
ーーーもう、諦めなきゃいけない。割り切らなくちゃいけない。それは分かってる。
なのに、
なぜこんなに辛いんだろう。
いつのまにか視界が歪み、頬に生ぬるい何かが伝った。
「あ………あれ?な、なんで……」
泣いても何も変わらない。分かってるのに、
どうして涙が止まらないの……?
今は誰もいない暗闇の中だ。
少しだけなら、いいかな…
「っ…う………グスッ……うう」
とめどなく溢れる涙の止め方は知らない。だって最近泣けるようになったばかりだもん。
「はやと、くんっ………」
この呼び方も、最近慣れてきたばかりだが呼ばなくなるかもしれない。
そう思うと寂寥感が私を襲った。
夜の闇の中、私の嗚咽が響く。
闇は声を上げて泣く私を包むように隠してくれた。

