【短編】天然お嬢様は焦らされてる事に気づかない。



***

その夜、私はベットの中で考えた。

……これでいい。これで、いいんだ。

分かっていたはずだろう。私は自由に恋愛できないことなんて。裕福な家に生まれたからには自由なんてないんだって。
なのになんでこんなに落ち込んでるの?

仕方のないことだと、割り切らなくっちゃ。


「………はぁ」

ああ、颯斗くんを落とせなくてよかったな。もし、好きにさせていたら傷つけてた。まあ、恋愛初心者の私に落とせたかはわかんないけど。

ははっ、良かった良かった。


ーーーもう、諦めなきゃいけない。割り切らなくちゃいけない。それは分かってる。

 なのに、

なぜこんなに辛いんだろう。

いつのまにか視界が歪み、頬に生ぬるい何かが伝った。


「あ………あれ?な、なんで……」


泣いても何も変わらない。分かってるのに、
どうして涙が止まらないの……?


今は誰もいない暗闇の中だ。

少しだけなら、いいかな…


「っ…う………グスッ……うう」

とめどなく溢れる涙の止め方は知らない。だって最近泣けるようになったばかりだもん。

「はやと、くんっ………」

この呼び方も、最近慣れてきたばかりだが呼ばなくなるかもしれない。
そう思うと寂寥感が私を襲った。

夜の闇の中、私の嗚咽が響く。
闇は声を上げて泣く私を包むように隠してくれた。