【短編】天然お嬢様は焦らされてる事に気づかない。



***

その日、私はお父様に呼ばれた。毎日顔は合わしているが、このように正式に呼ばれたのは久しぶりだ。

最後に呼ばれたのは……入学前に私がトップになると言われたときかな?
あの時は予想していたから衝撃はなかったけど…
今回は本当にわからない。

改まったときは決まって何か重大な事を伝えられる。

少し身構えながら父の書斎に向かう。

コンコンコン

「………」

「お父様、璃子です。」

「入れ。」

「失礼します。」

「急に呼んで悪かった。掛けてくれ。」

お父様は持っていた書類を机に置き、椅子から立ち上がる。

「はい。」

私がソファに座ると同時にお父様も私の前に座った。
お父様からの視線を受けた執事は心得て紅茶を入れ始める。

「それで、何の話でしょうか。」

「ああ……。実はな、お前に縁談があるんだ。」

「………は?」

衝撃の言葉にすぐに理解することはできず、間抜けな顔になった。

「………大丈夫か?別にお前が嫌なら断ってもいいんだぞ。」

「……まずにお相手を教えていただけますか?」

「ああ、そうだった。相手は国内No.3蒼葉グループの次男、蒼葉渚斗(あおばなぎと)だ。」

「蒼葉グループの……」

蒼葉グループは国内No.3で機械製造に力を入れているグループだ。部品も取り扱っているため、多くの会社に貢献している。
もちろんうちも例外ではない。一つの取引先として長い間助けてもらっている。