【短編】天然お嬢様は焦らされてる事に気づかない。



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数日後…

颯斗くんとの仕事が始まる前から準備してきた学園祭の日。

その日はいつも以上に忙しかった。

午前はまず校内の見回り。もちろん寄り道厳禁。
その次にクラスのカフェのシフトで接客。…何故かチャイナ服を着て。
午後は舞台発表があり、その司会進行に裏方の指示出し。

……学園祭といえば好きな人との距離を縮められるイベント!なんてネットに書いてあったのに、一切…颯斗くんに会うことさえなかった。

颯斗くんも午前にクラスの出し物と舞台の設営、午後に見回りという私と同じようでタイミングが違うと言うすれ違いが起こっているのだ。 

もちろん覚悟はしていたが、いつも隣にいた颯斗くんがいないだけで不安な気持ちになってくる。颯斗くんに依存してるなぁなんて思ったりするが、これは恋心のひとつなのだろうか。恋愛初心者の私にはわからない。


ーーとまあ、忙しくして終わった他の生徒にとっては楽しい楽しい学園祭も終盤に差し掛かる。

後夜祭だ。

後夜祭といえど、本質はダンスパーティだ。ドレスとタキシードを着て……セレブが通う学校なので。

そして、後夜祭といえば!青蘭学園のジンクス。
まぁ、このようなジンクスは他の学校もあると思うけど。
後夜祭で好きな人と一緒にダンスを踊ったら告白が上手くいくという。

なんともありがちでベタなシチュエーションだが、恋する乙女は憧れるもの。私も今や乙女の一員!超・超憧れます!!

…しかし、悲しいかな。私はフォークダンス、参加できないのだ。なぜか?そりゃあもう、トップは司会進行と伝統で決まっているからですよ。ドレス着て着飾ってるのにっ。

意義ありです!どうしてトップだけ青春を放棄しなければいけないのか。不公平ではないか。

(まあ、現実を見ると私が参加できたら西園寺とお近づきになりたい男子が押しかけると思うけど…。毎年あったからできたんだろうな、この伝統は。)

もしそれが起こったら私は………ああ恐ろしい。

(それでも私はしたかった!だって…好きな人がいるんだもん…。)

なんと補佐も連帯責任で踊れない。
颯斗くんが他の人と踊らないってだけで気持ち的にマシか…。

それでも本当に不公平だと思う。私、今日一度も楽しいと思うことなかったんですけど!?