ワタワタと真っ赤になりながら慌てていると、颯斗くんはそれを見かねてある提案をしてくれた。
「……じゃあ俺から言いましょうか?」
「へ……」
槙野くんは私の背後の机に手をつけ、もう片方の手で私の髪を耳にかける。
それから私の耳に口を近づけて甘く囁く。
突然のことに呆然としている私はされるがままだ。
「……璃子。」
「っ!!」
魅惑的なその声は思ったより刺激が強くて心臓がいつもより何倍も速く心拍を刻む。
心音はすぐ近くにいる槙野くんにも聞こえそうなほど高鳴り、余計に顔が赤くなる。
「はい、今度は璃子の番ですよ。」
「〜〜っ。」
名前を呼ばれるたびにドキッと胸を高鳴らせてしまう。心臓はずっとバクバクと音を立てる。近いから余計にだ。
「璃子……。」
意地悪な槙野くん。今度は吐息混じりの声で耳元に囁く。
鼓膜を揺さぶる低い声にまたまた悶える。
「……わざとでしょ。」
「何がですか?」
(絶対わざとだ!もう笑っちゃってるもん!!うう〜〜私の心臓壊れそう……。)
今度はわたし…。ちゃんと名前で呼んで槙野くんを振り向かせたいっ!
「……っ、は……」
「は?」
近くから聞こえる大好きな声に後押しされるように声を絞り出す。
「は、はやと……くん……」
(言っちゃった!!恥ずかしすぎる!)

