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「本っ当にごめんねっ!!」
あの後も集中できず、ほぼすべてを槙野くんに任せてしまった。
補佐にすべてやらせるなど、トップとしてあるまじきこと……いや、傲慢すぎる。
「別にいいですよ。昨日で学園祭の確認も終わりましたし、今日は仕事量がいつもより少なかったので。」
颯斗くんは帰りの支度をしながら言ってくれたけど、優しすぎるから余計に罪悪感が芽生える。
「だけど……。」
「………もしかして、集中できてなかったのって、昼休みのときの……。」
少し躊躇って言った言葉に過剰に反応してしまう。動揺が丸見えだ。
「っ!!ご、ごめんね。急で驚いたよね!!でも、早く伝えたくて……。」
……さっきから私、謝ってばかりだな。
なんて心の中で一人ノリツッコミする。
「まあ、それはいいんですけど。……頑張ってくれるんですよね。俺を落とすために。」
「っ……うんっ!頑張る!!……だからっ、覚悟しててください!!」
「ふふっ、分かりました。具体的に何をしてくれるんですか?」
美しい笑顔の後に紡がれた質問に慌てる私。
「えっ!?あ……えーと……名前で呼び合う、とか?」
これは昨日の夜、悩みながら調べた中でまだ出来そうだと思ったものだ。
「下の名前でって事ですか……。じゃあ、呼んでください。颯斗、って。」
「うっ……改めると恥ずかしい……。簡単だと思ったのに〜……。」
私は下の名前を呼び捨てにしたことがないから余計にハードルが高いかもしれない。

