ーー…急いで屋上を飛び出して、いつも槙野くんと仕事している執務室にきたものの…ーー
「槙野くんがいなかったら始まらないじゃんっ!!」
(今すぐメッセージを送らないと…。えーとえーと…って、ああっ!!スマホの充電無くなってる!?)
「なんでこんな時に〜っ!えーとえっと…。ど、どうしよう………。諦めないとダメかな…。」
頭を抱えてしゃがみ込んだその瞬間…
ガチャッ
「………こんな時間にどうしたんですか?昼休み、あと5分くらいで終わりますよ。」
扉の向こうから現れたのは艶のある黒髪を靡かせ、いつもはつけていないメガネをかけた槙野くんだった。
「ま………」
「ま?」
「槙野くんっ!!好きですっ!!」
私はしゃがみ込んだまま叫んだ。槙野くんは意味がわからないというようにポカーンと口を開けた。
「…………………は?」
「私、槙野くんが好きなのっ!あ…あのっ、私、頑張るから!好きになってもらえるように!!」
「……………」
「じ、じゃあっ!授業始まるから!!また後で!!」
そう言って執務室から走り去る。しかし、自分のはしたなさに気づき、すぐ身だしなみを整え、淑やかに歩き出す。
周りに人がいなくて良かった……。見られていたかもと思うと恥ずかしさで消えたい……。
(ああーー!!!言っちゃった〜〜……。)
取り繕っている表情の裏ではこんなに叫んで悶えてるなんて、誰が想像できるだろうか。これも今までの努力の賜物。……さっき失敗したけど。

