***


「で? なんの買い物に付き合ってほしいわけ?」

 近くのショッピングモールでコータと待ち合わせ、歩きながら問いかける。


 わかってはいるけど、一応、念のため、ね。


「あー……寧々の誕プレ」

 ちょっとだけ言いにくそうに、コータが口にする。


「ちょっとぉ。ひょっとして、あたしにはくれないつもり?」

 ワザとらしく口を尖らせて見せると、

「……奈々のヤツは、俺が適当に選んだから、いい」

 そう言いながら、すっと目をそらされた。


 適当、か。

 ま、別にいいですけど。


「で? どういうものにするか、ちょっとくらいは考えてきたの?」

「なんかこう……無難なヤツで、寧々が喜びそうなヤツ」

「って、それ、全然考えてないじゃん」


 たまたま通りかかったアクセサリーショップの店先に出ていたペンダントが目に入る。

 あ。寧々、こういうの超好きそう。

 リボン型のシルバーのペンダントトップで、真ん中のところにハート型の石がついているの。


「ねえ、あれなんかどう?」

 指さしながら、店先に近づいていく。