気付けば冬の寒さはすっかり和らぎ、穏やかな春の日差しに公園の桜のつぼみも膨らみはじめた三月下旬。


『明日、買い物に付き合って』

 コータから突然メッセージが届いた。

『寧々にはナイショで よろしく』


「なにそれ」

 思わず硬い声が漏れる。


 それって、ひょっとしなくても、寧々のための誕生日プレゼントを選ぶのを手伝えってことでしょ?

 っていうか、寧々の誕生日が近いってことは、あたしの誕生日も近いってことなんですけど。

 まさか、忘れてるなんてこと、ないですよね?

 ムカムカした気持ちが、ぐんぐん膨れ上がってくる。


 ……いやいや。二人を応援するって決めたんでしょ?


「まったく。しょうがないなあ」

 怒りとか、悲しみとか、そんないろんなモヤモヤを吹き飛ばすように、あえて大きな声を出してから返信する。


『OK スイーツバイキング、コータのおごりね』

『……りょーかい』


 苦笑いするコータの顔が透けて見えるようだよ。

 ふふっと笑うと、あたしはスマホを傍らに置いた。