「葉月の唇を無理やり奪った男が、どんな奴か気になって」
「奪ってないよ。ちゃんと避けたし…」
柳は「ふーん?」と悪戯っぽく微笑んだ。
「ていうか、逆になんでそんな余裕そうなの。優しすぎてちょっと心外…」
私が柳の立場だったら、物凄く嫌な気持ちになると思うのに。
「焦って縋ると思ったか?」
「そうじゃないけど…なんかもっと、こう…
動揺、してほしい、とか、」
これは流石に調子に乗りすぎた。と心の中で反省。
元はと言えば私が悪いのに。
柳の瞳がすっと細くなる。
「……俺が平気だと思うのか?好きな女が、他人にキスされそうになって」
柳の唇が耳元に寄せられて、低い声が身体中に響く。
「独占欲で、ぐちゃぐちゃだよ」
私を揶揄うように、耳朶に触れるか触れないかのところで柳は笑った。
ぞわりと首筋の裏が粟立つ。
今すぐキスできそうな距離で、彼の真っ直ぐな瞳がこちらを見ている。
「アンタが嫌がることはしないけど、このまま自分のものにしたいって気分。いますぐに」
私の心臓がどきりと跳ねた。
こ、これって…
怒ってるよね…?


