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びりり、と足に巻かれていたテープがナイフで切られた。
自由になった私の足。
デープが巻かれていた足首所には、赤い痣が出来ている。
「このまま走って逃げようなんて考えんじゃねえぞ」
笹倉がナイフをチラつかせながら脅して見せる。
彼らに連れて行かれた広い空間は、何かの工場跡地の廃墟だった。
古びたコンテナやドラム缶、廃材がいくつも置かれている。
薄汚れた地面には、何人もの天塚の生徒が転がっていた。
意識を失っている者や、体を抑えて痛みに苦しんでいる者。
「やなぎぃ、もう来たんか。やっぱお前は強いなぁ」
笹倉がにたりと笑って、奥にいる男に視線を送った。
そして、地面に伸びた自分の仲間を見て舌打ちする。
「これだけ用意してもだめか」
笹倉が放った言葉が、広い空間に響き渡る。
柳はぜーぜーと肩を上下させ、ひとり
その真ん中に立っていた。
これを全て、彼がやったのだろうか。
けれど彼の体もまた汚れ、その美しい顔にも殴られた痕がいくつもある。
額や唇の端が切れ、血が滲んでいた。
「柳!!」
私は叫んだ。
思いっきり。
あの彼が、こんなにボロボロなのは初めて見た。
笹倉にグッと髪の毛を掴まれ、私は思わず顔を顰める。


