真行寺玲央奈…
これが俺の名前。
どこをどう読んでも明らかに女の名前。
本当は「玲央(レオ)」に
するつもりだったらしい。
ところが真行寺財閥の一人娘として
育てられた生粋のお嬢様育ちで、
しかも超がつくほどの天然の母親が
何をどう間違ったのか、
出生届けに「玲央奈」と
書いてしまったらしい。
この名前のせいで小さな頃から、
からかわれ続けたものさ。
小学校に通い始めた頃に一度だけ、
母親に「なんで僕の名前、レオナって
女の子の名前なの?」
と尋ねたことがある。
すると俺の気持ちになど
気付くはずもない母親は
あっけらかんとしたいつもの表情で
「だって、ずっと女の子が欲しかったから
つい間違っちゃたのね。」
と答えた。
それでも小さな頃は大人しく
従順だった俺も、中学で偶然
仲良くなった貢(みつぐ)の影響から
グレ始め、周りの奴等には無理やり
「レオ」
と呼ばせるようになった。

