「駄目だ!お前の嫁はもう決まっておる。お前が勝手に決めていいような、そんな次元の問題じゃない! しかしお嬢さんにもお尋ねするが、お嬢さんのお父上が経営されている会社というのは、新浜町の立花産業のことですかな?」 と一転、落ち着いた声で聞いた。 アーサは小声で「はい。」と一言だけ答えた。 しばらく沈黙が続いた後、父が放った言葉は俺の予想に反した内容だった。 少なからず俺は期待していたわけで、固唾を飲んでその言葉を待った。