その老人は痩せていて、
見るからに60過ぎ…
ボサボサの白髪まじりの髪は
櫛とか何年も使ったことがないのかと
思える程乱れていて、
昔見たホラー映画で見た…
気が狂った博士に似ていた。
老人はそのボサボサの髪をかきあげながら
アタシの前に座ると、左手に持っていた
画像写真とカルテを机の上に置いた。
しばらくカルテを見つめ顔をあげると、
丸眼鏡の奥の目は優しい目をしていた。
でもその目はアタシの緊張をさらに高めた。
あまりの緊張に耐え切れず
「あの…先生…アタシ…どこが…」
と言いかけると、ゆっくりと
先生は口を開いた。
「立花…亜里沙さんですかな」
その声も優しく、どこか憂いさえも感じさせた。
「お歳は」
「26…です。」
「今日は何でここまで来られましたか」
「地下鉄ですけど…
どうしてそんな質問をされるんですか」

